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火災保険は、すすめられたものに入らないとダメですか
すすめられたものに、必ず入らなければいけないわけではありません。
理由はひとつです。
契約で求められているのは「特定の商品」ではなく、「必要な補償が付いていること」だからです。 ただし、条件を満たさない保険では契約できません。だから「入らなくていい」ではなく、「条件を満たすものなら選べる」が正確な答えです。
みなさま、こんにちは。
札幌・琴似の不動産屋「スマイルール」代表のゆりんごです🌷
「これ、入らないとダメですか?」
契約書類の中の火災保険を見ながら、小さな声で聞かれることがあります。
そう聞きたくなるのは当然だと思います。中身の説明がないまま、初期費用の明細に金額だけ並んでいることが多いからです。
だから今日は、その保険が何を守るものなのかを、最初から説明します。
賃貸の火災保険は、何のための保険ですか?
自分の部屋の火事のためだけではありません。大きく3つを守ります。
補償の名前 | 誰のためのもの |
|---|---|
借家人賠償責任 | 大家さんのため(部屋を壊してしまったときの弁償) |
家財の補償 | 自分のため(家具・家電が壊れたとき) |
個人賠償責任 | 他人のため(他の部屋や通行人に損害を与えたとき) |
名前は「火災保険」ですが、火事だけの保険ではありません。
実際にいちばん多いのは、火事ではなく水まわりの事故です。洗濯機のホースが外れた、給湯器から漏れた、冬に水道管が破裂した——こうした事故が、賃貸ではいちばん起きています。
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借家人賠償責任とは、何ですか?
お部屋を元に戻して返せなくなったときに、大家さんへ弁償するための補償です。
賃貸のお部屋は借り物です。借りたものを壊したら、元に戻して返す義務があります。これを原状回復と言います。
ところが、火事や水漏れで床や壁を大きく傷めてしまうと、個人ではとても払えない金額になることがあります。
キッチンから出火して、壁と天井を焦がした
洗濯機の排水があふれて、床の下地まで濡れた
凍結した水道管が割れて、部屋中が水浸しになった
この3つは、どれも実際に起きています。
借家人賠償責任は、このときの弁償を肩代わりするものです。だから、賃貸契約では必ず求められます。 「入らなくていいですよ」という物件は、まずありません。
そして大事なのは、この補償は大家さんを守るためのものだということ。自分のためではありません。自分の家具や家電は、別の補償(家財)でしか守られません。
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家財補償は、どのくらい付ければいいですか?
ひとり暮らしなら、300万円前後で設定される方が多い印象です。
家財というのは、部屋の中にある自分のものすべてです。冷蔵庫、洗濯機、テレビ、ベッド、パソコン、衣類、食器。ひとつずつは安くても、全部買い直すとなると、思ったより大きな金額になります。
ただ、多ければ多いほどいいわけではありません。
家財の金額 | 向いている方 |
|---|---|
少なめ(100万円台) | 家具が最小限の方/短期の単身赴任 |
標準(300万円前後) | 一般的なひとり暮らし |
多め(500万円以上) | 家族世帯/楽器・機材・趣味のものが多い方 |
金額を上げれば、保険料も上がります。 手持ちのものを思い浮かべて、「全部買い直したらいくらか」で考えてください。
そして、注意点をひとつ。
現金・通帳・宝石・カードなどは、対象外か上限が低く設定されています。 ここは商品ごとに違うので、気になる方は確認してください。
自分で選ぶことはできますか?
できます。ただし、条件を満たす必要があります。
自分で契約する場合、この3つを満たしているかを先に確認してください。
① 借家人賠償責任が付いていること
金額の指定がある場合もあります。「1千万円以上」「2千万円以上」など、契約書に書かれていることが多いです。
② 保険期間が、賃貸の契約期間と合っていること
一般的な賃貸は2年契約なので、保険も2年で合わせます。ずれると、更新の管理が面倒になります。
③ 契約前に、証券の写しを提出できること
入居日までに提出を求められます。間に合わないと、鍵を受け取れないことがあります。
この3つを満たしていれば、ご自分で選んだもので構いません。ただ、正直に言うと、手続きの手間を考えて、すすめられたものにする方のほうが多いです。
そして、こういう方は確認してみてください。
すでに他の保険に入っている方(家財の補償が重複していることがあります)
共済に加入している方(賃貸向けの内容が含まれている場合があります)
クレジットカードの付帯サービスがある方
重複していると、同じ補償に二重で払うことになります。 保険は、掛けすぎても戻ってきません。
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札幌では、どんな事故が多いですか?
❄️ 冬の水道管の凍結・破裂です。これは本州の方が想像しているより、ずっと現実的な話です。
札幌では、真冬に気温が氷点下十数度まで下がる日があります。このとき、水道管の中の水が凍って膨らみ、管を内側から割ります。
割れただけでは、まだ気づきません。気温が上がって氷が溶けた瞬間に、そこから一気に水があふれます。
こういう場面で起きます。
場面 | 何が起きるか |
|---|---|
年末年始の帰省 | 暖房を切って数日家を空け、留守中に凍結 |
出張・旅行で不在 | 同上。発見が遅れて被害が広がる |
空室期間の長い部屋の隣 | 隣室の凍結が、自分の部屋に及ぶことも |
給湯器まわり | 屋外設置の配管が凍る |
いちばん怖いのは、自分の部屋だけで終わらないことです。
上の階で水があふれると、下の階の天井・壁・家財まで濡れます。 このとき下の階の方への賠償が必要になり、ここで効くのが個人賠償責任です。
だから札幌では、留守にするときの水抜きが本当に大事です。北海道の物件には、水抜き栓という設備が付いています。使い方が分からなければ、管理会社に必ず聞いてください。
長く家を空けるときは、暖房を完全に切らない
水抜きの手順を、入居時に確認しておく
凍結しやすい場所(洗面台の下・屋外の配管)を教えてもらう
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保険料は、どのくらいかかりますか?
ひとり暮らしで、2年間で1万5千円〜2万5千円くらいに収まることが多い印象です。
家族世帯や、家財の金額を大きく設定した場合は、これより上がります。幅でしか申し上げられないのは、補償の内容と金額で変わるからです。
初期費用の明細に載るのは、この2年分をまとめて前払いする金額です。だから、明細を見ると高く感じます。1か月あたりに直すと千円前後、と考えると分かりやすいかもしれません。
そして、明細に金額だけ書かれていたら、中身を聞いてください。
家財がいくらで設定されているか
借家人賠償責任がいくらか
個人賠償責任が付いているか
この3つが答えられない不動産屋は、少し心配です。
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実際に事故が起きたら、どうしますか?
順番があります。慌てる場面なので、先に知っておいてください。
① まず被害を止める(水漏れなら元栓、火災なら119番)
② 管理会社・大家さんに連絡する
③ 保険会社に連絡する
④ 写真を撮っておく
④を忘れる方が多いです。 片付ける前に、濡れた床、壊れた家電、水の跡を撮っておいてください。あとから補償の話をするときに、これが効きます。
そして②と③は、どちらも必要です。 保険会社にだけ連絡して、管理会社に伝えていないと、修繕の手配が進みません。
もうひとつ。修理を自分の判断で手配しないでください。 賃貸の設備は大家さんのものなので、勝手に直すと費用を負担してもらえないことがあります。
よくあるご質問(賃貸の火災保険)
Q. 保険に入らないという選択はできますか?
A. できません。 借家人賠償責任がない状態では、契約が進みません。ただし、商品を選ぶことはできます。
Q. 途中で解約したら、お金は戻りますか?
A. 残りの期間分が戻ることが多いです。 ただし、自動では戻りません。退去したら、自分で保険会社に連絡してください。 これを知らずに放置している方が、本当に多いです。
Q. 更新のとき、保険も更新が必要ですか?
A. 必要です。 賃貸の更新と保険の満期はセットで来ます。切れたまま住み続けると契約違反になります。
Q. 自分の不注意で起きた事故も、対象になりますか?
A. 多くの場合、対象になります。 うっかりの水漏れや失火は、補償の範囲に入っていることがほとんどです。故意の場合は対象外です。
Q. 地震で壊れたものは、補償されますか?
A. 通常の火災保険では対象外です。 地震の補償は別の扱いになります。必要かどうかは、お住まいの建物と考え方次第です。
Q. 盗難にあったら使えますか?
A. 家財の補償に盗難が含まれていれば使えます。 含まれていない商品もあるので、確認してください。
おわりに
火災保険の説明をすると、「そんな意味があったんですね」と言われることがあります。
説明されないまま金額だけ払っている方が、それだけ多いということです。
わたしは、この保険を「入らされるもの」ではなく、「自分と、下の階の人と、大家さんを守るもの」だと思っています。
とくに札幌では、冬の水まわりの事故が本当に起きます。 年末に帰省して、戻ったら部屋が水浸しだった。そういう話を、この仕事をしていると毎年聞きます。
だから、金額よりも中身を見てください。
家財がいくらか。借家人賠償がいくらか。個人賠償が付いているか。 この3つだけで十分です。
そして、分からないまま契約しないでください。 聞いてもらえれば、いくらでも説明します。
「この保険、何が入ってるんですか」——この一言で大丈夫です。
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