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親の住み替えを考えています。高齢の家族の部屋を探すとき

2026/10/6

高齢のご家族の住み替えで最初に見るのは、間取りではありません。段差と浴室と暖房です。

理由はひとつです。
ご高齢の方の暮らしを変えるのは、広さではなく「転ばないこと」と「寒くないこと」だからです。 3LDKから1LDKに移っても、玄関の段差が20センチあると、毎日そこでつまずきます。

みなさま、こんにちは。
札幌・琴似の不動産屋「スマイルール」代表のゆりんごです🌷

「実家の雪かきが、もう無理そうなんです」
秋になると、このご相談が増えます。

親御さんご本人ではなく、離れて暮らすお子さんからのご相談が多いのも特徴です。冬に帰省して、玄関前の雪の山を見て、「これを毎日ひとりで?」と気づかれるのだと思います。

この記事では、何を見て、どう進めるのかを順番にお伝えします。


いちばん大きく変わるのは、何ですか?

除雪です。札幌では、ここが暮らしそのものを変えます。

戸建てにお住まいだと、冬のあいだはほぼ毎日、玄関前と車の前を雪かきすることになります。屋根の雪下ろしが要る家もあります。これが60代、70代と続いていくと、どこかで限界が来ます。

雪かきのいらない暮らしに変えると、こう変わります。

戸建てでの冬

除雪付きの集合住宅

毎朝30分〜1時間の雪かき

玄関を出たら通路が空いている

屋根の雪、つららの心配

管理会社が対応

雪の捨て場所に困る

敷地内に雪置き場がある

転倒のリスクが毎日ある

屋外に出る回数が減る

「転倒のリスク」が、いちばん大きいです。

札幌の冬は、雪よりも氷が危険です。とくに2月から3月、日中に溶けて夜に凍る時期。この時期の転倒は、骨折から寝たきりにつながることがあります。外に出る回数と距離が減るだけで、リスクがはっきり下がります。

▶ 札幌に移住するなら、冬を想定して部屋を選んでください。暖房費と雪の落とし穴を不動産屋が解説します


内見で、どこを見ればいいですか?

この8か所です。上から順に大事です。

#

見るところ

基準

1

玄関の段差

上がりかまちが低いか。手すりが付けられるか

2

浴室のまたぎ高さ

浴槽のふちが高いと、入れません

3

浴室と脱衣所の暖房

❄️ 冬のヒートショック対策

4

トイレの広さと位置

寝室から近いか。手すりが付くか

5

廊下とドアの幅

将来、歩行器や車いすが通るか

6

暖房の種類と操作のしやすさ

灯油の補給が自分でできるか

7

エレベーターの有無

2階以上なら必須と考えてください

8

ベランダと洗濯物の動線

段差をまたぐ形になっていないか

2番目と3番目を、必ず一緒に見てください。

浴槽のふちが高いお風呂は、数年後に入れなくなります。 そして、脱衣所と浴室が寒い家は、冬の入浴が体に負担になります。 札幌は外気温が氷点下でも室内は暖かいので、かえって「暖かい居間から寒い脱衣所へ」の落差が大きくなります。

脱衣所に暖房があるか、後から小型のヒーターを置けるコンセントがあるか。 ここは内見のときに必ず確認してください。

そして1番目。玄関の段差は、内見では気になりません。荷物を持っていないからです。買い物袋を両手に持った状態を想像してみてください。


エレベーターは、絶対に必要ですか?

2階以上なら、必要と考えてください。

札幌には、エレベーターのない4階建てのアパートがたくさんあります。家賃は安いのですが、ご高齢の方には向きません。

  • 買い物袋を持って階段を上がるのが、年々つらくなります

  • 冬は靴の雪で階段が濡れて、滑ります

  • 体調を崩したとき、外に出られなくなります

  • 救急車を呼んだときも、階段は時間がかかります

1階なら、エレベーターがなくても大丈夫です。 むしろ1階は、ご高齢の方にはいい選択肢です。

ただし、1階には1階の注意点があります。冬に窓の前に雪が積もる、日当たりが悪くなる、防犯面。このあたりは、実際に建物を見て判断してください。

▶ 女性の一人暮らしで1階は危険ですか?不動産屋が条件つきで正直に答えます


立地は、何を基準に選びますか?

病院・スーパー・バス停。この3つまでの距離です。

そして札幌では、「徒歩◯分」を冬の距離に換算してください。

夏の徒歩

冬の実感

徒歩5分

10分近くかかることがあります

徒歩10分

荷物があると、かなりつらいです

徒歩15分

冬は現実的ではありません

ご高齢の方の場合、徒歩5分を基準に考えています。

何まで

距離の目安

スーパー・コンビニ

徒歩5分以内。できれば屋根のある道

かかりつけの病院

徒歩10分以内か、バス1本で行ける

バス停・地下鉄駅

徒歩5分以内

郵便局・銀行

徒歩10分以内

「かかりつけの病院を変えたくない」というご希望は、とても多いです。長く通っている先生がいる場合、その病院からの距離を最優先にして探すという決め方も、じゅうぶんありだと思っています。

そしてもうひとつ。除雪の質は、道によって違います。 幹線道路沿いは早く除雪されますが、一本入った生活道路は、朝の時点でまだ雪が残っていることがあります。病院まで歩く道が、どちらなのか。 ここは冬に一度、見ていただきたいところです。


高齢だと、審査は通りにくいですか?

正直に言うと、年齢を理由に慎重になる大家さんはいます。

隠しても仕方がないので、そのまま書きます。ただし、通らないわけではありません。 実際、たくさんの方が契約されています。

通りやすくなる材料は、この4つです。

材料

効き方

お子さんが緊急連絡先になる

これがいちばん効きます

年金収入が安定している

収入の種類は問われないことが多いです

保証会社の利用

高齢者を受け入れる商品があります

お子さんが契約者になる

ご本人が入居者。これで通ることがあります

1番目を、必ず用意してください。

大家さんが心配しているのは、「何かあったときに連絡がつく人がいるか」です。収入よりも、ここです。お子さんやご親族の連絡先がはっきりしていれば、印象がまったく変わります。

そして、連帯保証人を立てられないケースもあると思います。その場合は保証会社を使います。高齢の方向けのプランを持っている会社がありますので、そこを扱っている不動産屋に相談してください。

それでも断られることはあります。 そのときは、その物件が合わなかっただけです。条件を変えて探し直せば、必ず見つかります。


見守りや、もしものときの備えは?

やりすぎなくて大丈夫です。できることから3つだけ。

① 緊急通報の仕組みを知っておく
札幌市には、ひとり暮らしのご高齢の方向けに、緊急時の通報や見守りに関する制度があります。対象の条件や費用は年度で変わりますので、お住まいの区の区役所、または地域包括支援センターの窓口で確認してください。

② 地域包括支援センターの場所を調べておく
介護や生活の相談ができる区ごとの窓口です。何かあってから探すより、引っ越したらすぐ確認しておくほうが安心です。

③ 日常の連絡を、形にしておく
毎日電話、というのは続きません。「朝カーテンを開ける」「夕方にスタンプを1つ送る」くらいの、負担にならない合図を決めておく方が多いです。

そして、ご近所との関係。ご高齢の方の場合は、あいさつをしておいたほうがいいとお伝えしています。若い方の一人暮らしとは、ここだけ逆になります。管理人さんがいる建物なら、顔を覚えてもらうだけでずいぶん違います。


住み替えの話を、どう切り出せばいいですか?

「危ないから」より、「楽になるから」で話してください。

「もう危ないよ」「ひとりじゃ無理でしょう」という言い方は、多くの場合うまくいきません。ご本人には、できないと決めつけられたように聞こえるからです。長く住んだ家を離れること自体が、すでに大きな決断です。

かわりに、こんな言い方が通りやすいです。

  • 「雪かきしなくていい家、見るだけ見てみない?」

  • 「病院に近いところ、どんな感じか見てみよう」

  • 「冬のあいだだけ、試しに住んでみるのもありだよ」

そして、内見にはご本人に必ず来ていただいてください。 お子さんだけで決めた部屋は、後から「こんなはずじゃなかった」になりやすいです。実際に玄関を上がって、お風呂を見て、ご自分で「ここならいいね」と言えることが大事です。

急がなくて大丈夫です。 1年かけて決める方もいらっしゃいます。


よくあるご質問(親の住み替え)

Q. サービス付き高齢者向け住宅と、普通の賃貸はどう違いますか?
A. 見守りや生活支援が付くかどうかが、いちばんの違いです。 その分だけ費用は上がります。お身体の状況によって向き不向きがありますので、区役所や地域包括支援センターで相談してから決めるのが確実です。

Q. 実家を売ってから探すべきですか?
A. 先に部屋を決めるのをおすすめします。 売却が先だと、期限に追われて妥協しがちです。

Q. 親が持ち家で、収入は年金だけです。審査は通りますか?
A. 通ります。 年金収入でも、家賃とのバランスが取れていて緊急連絡先があれば、問題にならないことが多いです。

Q. 子どもが道外にいます。それでも大丈夫ですか?
A. 大丈夫です。 緊急連絡先は遠方でも構いません。ただし、近くに頼れる方がいるかは聞かれることがあります。

Q. 内見に、親が来られない状態です。
A. 動画とビデオ通話で進められます。 ただし、可能なら一度はご本人に見ていただきたいです。段差や浴室の感覚は、ご本人にしか分かりません。

Q. ペットと一緒に住み替えたいそうです。
A. ペット可の物件で探します。 数は減りますが、あります。ご高齢の方にとって、長年一緒にいた動物と離れるのは、住み替え以上につらいことだと思っています。

▶ ペットと一緒に住める部屋を探しています。札幌で「ペット可」を選ぶときの注意


おわりに

親御さんの住み替えのご相談は、どこかに後ろめたさを抱えてお越しになる方が多いです。

「追い出すみたいで」「まだ元気なのに」と。

でも、わたしはこう思っています。
元気なうちだからこそ、選べます。

倒れてから、入院してから動くと、選択肢がほとんどなくなります。 空いている部屋に入るしかなくなる。ご本人の希望を聞く時間もなくなる。元気なうちに、ご本人と一緒に見て回れることのほうが、ずっと幸せなことだと思うのです。

そして、雪かきから解放されたあとの冬は、びっくりするほど静かです。
朝、窓の外の雪を「きれいだね」と言えるようになったと話してくださった方がいました。

決めなくて構いません。見るだけでも大丈夫です。
一緒に、一度見に行きましょう。

「親の部屋を探しています」だけで大丈夫です。
まずはLINEから、気軽に話しかけてくださいね☺


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