札幌に移住するなら、冬を想定して部屋を選んでください。暖房費と雪の落とし穴を不動産屋が解説します

2026/9/2

結論から言うと、札幌のお部屋選びで冬にいちばん効いてくるのは、家賃ではなく暖房費です。 同じ広さ・同じ家賃でも、暖房の種類と窓の作りが違うだけで、冬の4か月で10万円以上の差がつきます。

そしてもうひとつ。
夏や秋に内見して決めた部屋で「こんなはずじゃなかった」となる方は、毎年いらっしゃいます。 札幌の夏は本当に気持ちがよくて、カラッと晴れた8月に部屋を見ると、雪のことは頭から消えてしまうのです。

みなさま、こんにちは。
札幌・琴似の不動産屋「スマイルール」代表のゆりんごです🌷

ここ数年、道外の方から「札幌に移住したいんです」というご相談が本当に増えました。オンラインでお話しして、そのままお部屋を決められる方もいらっしゃいます。

うれしいことなのですが、同時に責任も感じています。
なぜなら、移住される方は「札幌の冬に住んだことがない」からです。

この記事では、道外から移住される方が見落としがちなポイントを、6つに絞ってお伝えします。札幌市内で引っ越しをお考えの方にも、そのまま役に立つ内容です。


札幌の冬の暖房費は、いくらくらいですか?

1Kのひとり暮らしで、冬のいちばん寒い月に8千円〜3万円。幅がありすぎると思われるかもしれませんが、これが実際のところです。

差がつく原因は、暖房の種類です。

暖房の種類

真冬(1〜2月)の月額目安

特徴

灯油ストーブ(FF式)

8千〜1.3万円

札幌では最も安く済むことが多い。灯油の残量管理が必要

都市ガス暖房

1.2万〜2万円

手間がかからない。ガス代は灯油より高め

セントラルヒーティング(灯油)

1万〜1.8万円

家全体が均一に暖かい。部屋ごとの調整がしづらい

電気(エアコン暖房・蓄熱)

1.5万〜3万円

外気温が氷点下だとエアコンの効率が落ちる

プロパンガス+電気暖房

2万〜3.5万円

札幌では最も高くつきやすい組み合わせ

※札幌市内の入居者さまからの聞き取りによる目安です(2026年時点)。燃料価格・建物の断熱性・在宅時間で変わります。

家賃3千円の差より、暖房費1万円の差

ここが、いちばんお伝えしたいところです。

家賃3.6万円でプロパンガス+電気暖房のお部屋と、家賃3.9万円で灯油FF式のお部屋。
家賃だけ見れば前者が月3千円お得です。

でも冬の4か月で暖房費が月1万円違えば、4万円の差。年間で見ると、後者のほうが安く済みます。

札幌の賃貸は、家賃と光熱費をセットで見ないと判断を間違えます。
デザイン性の高いリノベーション物件で「プロパンガス+電気暖房」の組み合わせは、実はけっこうあります。おしゃれで惹かれるのですが、光熱費は必ず確認してください。


窓は何を見ればいいですか?

サッシと窓ガラスです。ここが札幌の物件選びで、最も費用対効果の高いチェックポイントです。

見ていただきたいのは、この3点です。

  1. ペアガラス(複層ガラス)になっているか — ガラスとガラスの間に空気層があるか、窓の端を横から見ると分かります

  2. 内窓(二重サッシ)が付いているか — 窓が二重になっている物件は、札幌では当たりです

  3. サッシが樹脂製か、アルミ製か — 樹脂サッシは結露しにくく、暖かさが違います

古い物件で単層ガラス+アルミサッシだと、暖房をどれだけ焚いても窓際から冷気が下りてきます。「暖房費が高いのに寒い」という状態です。

そして結露。
単層ガラスの部屋は、冬になると毎朝、窓の下がびしょ濡れになります。 拭かずに放置するとカビが出て、退去のときに借主負担を問われることがあります。窓の作りは、住み心地だけでなく、出ていくときのお金にも関わってきます。


冬の日当たりは、夏と同じではないのですか?

同じではありません。冬の太陽は、驚くほど低いところを通ります。

冬至のころの札幌は、日の出が7時ちょうど過ぎ、日の入りが16時すぎ。太陽の高さも夏とはまるで違います。

その結果、こういうことが起きます。

  • 夏は日が入っていた南向きの部屋が、冬は向かいの建物の影に一日中入る

  • 夏の内見では明るかったのに、12月に住み始めたら昼間も電気をつけている

内見のときは、「南側に何が建っていますか」「その建物は何階建てですか」と聞いてください。図面だけでは分かりません。窓から実際に南を見て、建物との距離と高さを確かめるのがいちばん確実です。

日当たりは、明るさだけの話ではありません。冬は日が入るかどうかで、体感温度と暖房費が変わります。


車を持っている場合、駐車場で何を確認しますか?

「雪をどこに捨てるか」と「誰が除雪するか」の2つです。

道外の方には、ここがいちばんイメージしにくいところだと思います。

雪捨て場はどこにありますか?

自分の駐車スペースに積もった雪は、消えません。どこかに寄せる必要があります。

  • 敷地内に雪捨て場が確保されている → 安心です

  • 「各自で処理してください」 → 寄せる場所が実質ない物件があります

公道や近隣の敷地、公園に捨てるのは禁止されています。 札幌市の条例でも、道路への雪出しは禁じられています。

内見のときに、「この駐車場の雪は、どこに寄せることになりますか」と聞いてください。答えられない場合は、管理会社に確認してもらってください。

除雪は誰がしますか?

物件によって、まったく違います。

パターン

内容

管理会社が業者を手配

費用は共益費に含まれることが多い。いちばん楽

大家さんが除雪する

建物によっては朝が遅いことも

入居者が各自でやる

朝の30分が毎日消えます

屋根なしの青空駐車場だと、大雪の朝は車の雪下ろしと駐車場の雪かきで30分以上かかります。 お子さんの送迎がある方、朝が弱い方には、屋根付きカーポートか車庫がある物件を強くおすすめしています。

家賃が月3千円上がっても、冬の毎朝30分が戻ってくるなら、わたしは高くないと思います。


「雪庇(せっぴ)」って何ですか?

屋根に積もった雪が、庇(ひさし)のようにせり出してくる現象です。落ちると、本当に危険です。

雪庇が、こんな場所の真上にできる建物があります。

  • 建物の出入り口

  • 駐車場

  • 通路や物置の上

数十キロの雪の塊が2階3階の高さから落ちてくると、車が壊れます。人に当たれば大事故です。

内見のとき、建物を外から見上げてください。確認するのはこの3点です。

  1. 屋根の形 — フラットルーフ(無落雪屋根)なら、札幌では安心度が高いです

  2. 落雪防止の設備 — 雪止め金具が付いているか

  3. 玄関の真上がどうなっているか

札幌の比較的新しい建物は、雪を屋根の上で溶かして排水する「無落雪屋根」が主流です。傾斜のある屋根で、その下が出入り口や駐車場になっている物件は、注意して見てください。


道外からだと内見に行けません。どうすればいいですか?

オンライン内見で対応できます。実際、そうやって決めている方がたくさんいらっしゃいます。

ただし、動画をただ見るだけだと、この記事に書いたことは何も分かりません。

わたしがオンライン内見のときにやっていることです。

  • 窓のガラスの端を近づけて映す(ペアガラスかどうか)

  • 暖房設備と給湯器の型番を映す(灯油かガスか、都市ガスかプロパンか)

  • 窓から南側を映す(何が建っているか)

  • 建物の外に出て、屋根と玄関の上を映す(雪庇のリスク)

  • 駐車場から敷地全体を映す(雪をどこに寄せるか)

  • 駅までの道を歩きながら映す(冬にこの距離を歩けるか)

最後の項目が、実はいちばん大事かもしれません。
夏の「駅徒歩10分」は、真冬には15分以上かかります。 歩道が雪で狭くなり、路面は凍ります。移住される方には、いつも「夏の徒歩分数を1.5倍で考えてください」とお伝えしています。


内見で聞くこと:雪国チェックリスト

夏や秋に内見される方は、これをそのまま聞いてください。スクリーンショットして持って行っていただけたら、うれしいです。

聞くこと

なぜ聞くのか

暖房の種類は何ですか

冬4か月の光熱費が10万円以上変わります

冬の光熱費はどれくらいですか

管理会社が前の入居者さまの実額を把握していることがあります

窓はペアガラスですか。サッシは樹脂ですか

暖房効率と結露、退去時の負担にも関わります

南側に何が、何階建てで建っていますか

冬は日が低く、夏に日が入る部屋でも一日中影になることがあります

除雪は誰がしますか

管理会社か自己責任かで、冬の朝がまるで変わります

雪はどこに寄せますか

捨て場がないと、2月には駐車スペースが半分になります

屋根の雪はどちらに落ちますか

玄関や駐車場の真上だと危険です

郵便や宅配は冬も届きますか

除雪されない私道の奥だと、遅れることがあります

駅までの道は除雪されますか

幹線道路沿いかどうかで、冬の徒歩時間が変わります


よくあるご質問(札幌移住・冬の物件選び)

Q. 灯油ストーブは、自分で灯油を買いに行くのですか?
A. 多くは配達です。屋外にホームタンクがある物件なら、業者に電話すれば入れに来てくれます。室内の小さなタンクに自分で入れるタイプもあり、この場合は冬に何度か給油作業が発生します。どちらのタイプか、内見時に確認してください。

Q. 北海道の賃貸は、家具家電付きが多いのですか?
A. 多くはありません。ただ、エアコンが付いていない物件は札幌では珍しくありません。 近年は夏に30度を超える日が続くので、エアコンの有無は必ず確認してください。「暖房はあるが冷房はない」という部屋が実際にあります。

Q. 冬に引っ越すのは大変ですか?
A. 引っ越し自体は可能ですし、1〜2月は閑散期なので、家賃交渉が通りやすい時期でもあります。 ただし搬入経路が雪で狭くなり、作業に時間がかかります。急ぐ事情がなければ、10月中か、4月以降が動きやすいです。

Q. 移住前に、一度札幌に来たほうがいいですか?
A. 来られるなら、ぜひ冬に来てください。 8月の札幌と2月の札幌は、まったく別の街です。難しい場合は、オンラインでしっかりお見せします。

Q. 家賃の相場はどのくらいですか?
A. 札幌市中央区の1Kで4.6万円、西区で3.6万円ほどが目安です(2026年9月時点・築20年以内)。区ごとの相場は「札幌で女性がひとり暮らしするなら、どのエリアがいい?」に一覧でまとめています。

Q. 木造とRC造では、冬の暖かさは違いますか?
A. 冬の暖かさだけで言えば、断熱のしっかりしたRC造(鉄筋コンクリート)が有利です。ただし構造より、築年数と断熱の仕様のほうが影響は大きいです。新しい木造のほうが、古いRC造より暖かいことは普通にあります。構造だけで決めないでください。

Q. 1階と上階では、冬の暖かさは違いますか?
A. 違います。暖かい空気は上にいくので、一般的には上階のほうが暖まりやすいです。ただし最上階は屋根から冷えるので、実際には中間階がいちばん有利なことが多いです。1階を検討される場合は、冬の寒さに加えて、雪解け時期の湿気にもご注意ください。

Q. 札幌で車は必要ですか?
A. 地下鉄沿線にお住まいなら、なくても十分に暮らせます。 冬の除雪と雪捨て場の確保を考えると、「持たないほうが楽だった」とおっしゃる方も多いです。車をお持ちの場合は、この記事の駐車場の項目を必ず確認してください。

Q. 遠方からでも相談できますか?
A. もちろんです。LINEとオンライン通話で、内見から契約までお手伝いしています。ご相談は無料です。


おわりに

札幌の暮らしは、本当にいいものです。
夏は湿気がなくて過ごしやすく、食べ物がおいしくて、街のサイズがちょうどいい。移住されて「来てよかった」とおっしゃる方を、たくさん見てきました。

ただ、冬が4か月あります。 ここを想定して部屋を選べたかどうかで、最初の一年の印象がまるで変わってしまいます。

暖房の種類、窓の作り、冬の日当たり、雪の捨て場所、屋根の形、駅までの本当の距離。
この6つを見ておけば、「こんなはずじゃなかった」のほとんどは防げます。

わたしはこの街で生まれ育って、毎年その冬を越してきました。
だから、パンフレットには載らないことをお話しできます。

「こんなこと聞いてもいいのかな」は、まったく気にしないでください。
まずはLINEから、気軽に話しかけてくださいね☺


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